税理士業界のDX最前線。Geminiを活用した「AI導入会計」の具体的事例と成果

税理士業界のAI導入とは、生成AIを活用して記帳・データ入力・勘定科目判定などの定型業務を自動化し、業務効率と会計品質を両立する取り組みです。

税理士法人ブリーロパートナーズでは、生成AI「Gemini」を実務へ導入したことで、記帳業務を1件あたり30〜40分短縮し、約99%の精度で会計データを自動化できる体制を構築しています。
AIは単純作業を効率化する一方で、税理士による確認や品質管理を組み合わせることで、高い精度と信頼性を維持しています。

本記事では、当事務所が実際に運用しているGemini活用事例として、OCRから生成AIへの移行による業務改善、過去データを活用した勘定科目の自動判定、品質を維持するための運用体制、そしてAI時代を見据えた今後の展望まで、実務ベースで詳しくご紹介します。

この記事を読むことで、税理士業界におけるAI活用の実際と、AIを活用しながらも品質を維持するための考え方、そしてお客様へどのような価値を提供しているのかをご理解いただけます。

  1. 【事例1】OCRからGeminiへ 処理時間の劇的な短縮と高精度化
  2. 【事例2】「過去データ」を教師とする勘定科目の自動判定
  3. 【対策】現場で判明した課題と、品質維持のための取り組み
  4. 【今後の展望】一人で60社対応可能な強靭な体制へ

【事例1】OCRからGeminiへ 処理時間の劇的な短縮と高精度化

これまでのOCR(光学文字認識)技術に加え、最新の生成AI「Gemini」を実務フローに組み込みました。
その結果、従来の処理方法と比較して1件あたり30〜40分の時短を実現しています。

99%程度の精度でデータ化を実現

領収書の読み取りだけでなく、通帳やクレジットカード明細書など、さまざまな資料をAIによってCSVデータへ変換しています。
また、必要な項目だけを抽出するよう事前に指定できるため、データ化後に不要な情報を削除するといった後工程も大幅に削減しています。
従来は人の目で確認しながら入力や整理を行っていた作業も、現在では99%程度の精度で自動変換が可能となり、記帳業務全体のスピード向上につながっています。

弥生会計・マネーフォワードへの直接連携

AIで作成したデータは、弥生会計やマネーフォワードクラウドのインポート形式に合わせて出力することができます。
従来は専用の変換ソフトや外部サービスを経由する必要がありましたが、AIを活用することで変換コストや追加作業を削減することに成功しました。
余分な工数や変換待ち時間を減らすことで、日々の会計処理をより効率的に進められる環境を整えています。

プロンプトによる集計・照合作業の自動化

AIの活用は単なる文字起こしやデータ化にとどまりません。
カード利用明細と領収書の照合作業や、医療費などの集計作業など、これまで人手で行っていた膨大な確認業務についても、プロンプトを活用することで自動化を進めています。
担当者が長時間を要していた単純作業を短縮することで、より付加価値の高い業務に時間を充てられる体制を構築しています。

汎用的なプロンプトを整備し、スムーズな運用を実現

AIの性能を最大限に活かすため、業務内容ごとに最適化したプロンプトフォーマットを作成しています。
これにより、新規のお客様の業務や既存業務をGeminiへ移行する際にも、担当者ごとの経験やノウハウに依存せず、円滑に作業を開始することが可能となりました。
属人化を防ぎながら、安定した品質と高い生産性の両立を目指しています。

【事例2】「過去データ」を教師とする勘定科目の自動判定

AI活用の鍵は、過去の仕訳データの活用にあります。
総勘定元帳のデータをAIに参照させることで、各関与先固有の勘定科目を自動判定するシステムを構築しています。
これにより、担当者の経験に依存しない安定した品質の提供が可能となりました。

【対策】 現場で判明した課題と、品質維持のための取り組み

AIは万能ではありません。
現場での検証を通じて見えてきた細かな課題に対しても、着実に改善策を講じています。

読み取り精度の向上

実務では、手書きの出納帳などAIによる認識が難しいケースも確認されています。
そのため、当事務所ではAI活用を前提とした資料準備の方法や記帳のポイントについて、お客様への情報共有やご案内も行っています。
AI任せにするのではなく、お客様との連携によってより高い精度を実現しています。

マニュアル整備による安定運用

AIサービスは日々進化しており、仕様変更や突発的なエラーが発生することもあります。
そのため、当事務所では運用マニュアルを整備し、バージョンアップや想定外のトラブルにも対応できる体制を構築しています。
担当者が変わっても品質を維持し、誰でも円滑に業務を進められる環境づくりを進めています。

管理体制の標準化

日々の運用で発生したエラーや改善点はチーム内で共有し、プロンプトの見直しや運用方法の改善を継続しています。
一度作って終わりではなく、実務の中で蓄積された知見を反映しながら、より高品質なサービス提供を目指しています。

今後の展望一人で60社対応可能な強靭な体制へ

当事務所では、AI活用による業務効率化をさらに進め、担当者一人あたり60社程度を安定してサポートできる体制の構築を目指しています。
その一環として、資料到着状況の確認やお客様とのやり取りについてもAIの活用を検討しています。
お客様と当事務所の双方がスムーズに資料を共有できる確認フォーマットの整備を進めることで、確認漏れややり取りの負担を軽減し、よりストレスの少ない環境づくりを目指しています。
また、クラウド上でデータ管理を行っている企業や、複数店舗を運営されているお客様に対しても、場所や拠点数に左右されない効率的なサポート体制を整備し、継続的なサービス向上に取り組んでまいります。